図書館からの推薦本

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イマジン?:有川ひろ


 「映像現場で働きたい!!」そんな夢を抱いて上京したが、現実はそう上手くいかない。しかし、巡りめぐって映画撮影の現場でバイトをするチャンスに遭遇する。ひたすら撮影が滞りなく進行するよう走り回り、俳優さんが気持ちよく本番に臨めるよう周囲にも気を配る。日の当たらない縁の下の力持ち役だが、これを率先してやる人がいないと現場は回らない。人をおもんばかることで、自分はどう行動したらいいのか考えを巡らすことが必要なのだ。そして、その背景にあるのは、常に人への尊敬の念だろう。果たしてそれは、映像制作の世界だけの話だろうか。いや、私たち一人ひとりが日々生きていく中で大切な心構えなのではないだろうか。

(司書 古川郁)

2020年10月08日

バッタを倒しにアフリカへ:前野ウルド浩太郎


サバクトビバッタの生態を研究するためにアフリカのモーリタニアへ旅立った筆者。サバクトビバッタは数年に一度アフリカで大発生し、農作物に甚大な被害を与えます。それは、食料危機を引き起こすレベルです。


バッタの研究でアフリカを救いたいという気概が認められ、現地の研究所から『ウルド』という高貴なミドルネームを与えられて研究活動をした記録が綴られています。


ただ、この本の面白いところは、バッタ研究の成果を披露する内容だけではなく、モーリタニア人の日常や考え方、食べ物や風景の描写も軽快な文章で綴られ、旅行記の側面も持ち合わせているところです。そのうえ、研究者の立場や日常、日本で科学研究を続けていく上での困難な状況も、興味深いエピソードやユーモアを交えながら語られています。


日本で食べられているタコは実はモーリタニアからの輸入に頼っています。モーリタニアが地図上でどこにあるのかも知らない人が多いのではないでしょうか。そんな国で日本の研究者が活動した記録、面白いですよ。


2018年新書大賞受賞作です。

(司書 山中)

2020年09月12日

学校図書館司書が選ぶ小中高生におすすめの本220


本校図書館も毎年参加しているイベント「東京・学校スタンプラリー」。

このイベントはこれまでに8回開催され、毎年小冊子が作られています。そのうち第1回から第5回までの小冊子が1冊の本にまとめられ、『学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本300』として出版されました。その好評を受けて、新たに2017年から2019年までの3冊の小冊子がまとめられ、第2弾として『学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本220』が出版されました。

2020年08月29日

あん:ドリアン助川


『ハンセン病』を知っていますか?名前は聞いたことがある、その病気にかかった人が差別を受けていたことも知っている、という人も多いと思いますが、その人たちがどういう人生を送ってきたのか、具体的に興味を持ったことがある人は少ないのではないでしょうか。


この小説の主人公はその『ハンセン病』を患い、壮絶な人生を送ってきた人ですが、そんな哀しみ苦しみをクローズアップした重苦しい小説ではなく、ふんわりと温かい文体で、こちらもまた壮絶な人生を送ってきた和菓子屋の店長との心の交流を描いています。


もし、今、生きる意味が分からない…などと考えている人がいたら、ぜひこの本を手に取ってみてください。優しい文体で何かを語りかけてくれるはずです。
美しい表現の数々に、心が温かくなります。

(司書 山中)

2020年08月20日
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