図書館からの推薦本

見つける東京:岡部敬史・山出高士

 

この本は、単に東京の有名スポットを紹介するものではありません。この写真集を発行するためにおそらく作者は東京中を歩き回ったに違いありません。

108~111ページにある「トレインビュースポット」では、同時にたくさんの電車を見ることができるスポットの紹介があります。
ここでは北とぴあと聖橋が紹介されていますが、「撮り鉄」の皆さんの間ではよく知られたスポットかもしれませんね。
68ページにある「渋谷スクランブル交差点」は、言わずと知れた観光名所になっていますね。これは2003年に公開されたハリウッド映画の象徴的なシーンで使われてから外国人がこぞって訪れるようになり、有名になったそうです。

2020年のオリンピックに向けて、大きく東京の観光は変化しました。しかし、延期となったうえに無観客という条件での開催となり、東京という街を多くの人に知ってもらう機会を失いました。そこで、「これからは私たちが歩いて見て楽しみ、東京という街を盛り上げていくべきではないか」と著者は言っています。

ぜひ、皆さんもこの写真集を参考にして、人に伝えられる「自分だけの東京」を発見してみて下さい。
皆さんの住んでいる街にも、そういうものがあるかもしれません。

(スタッフ 鎌田)

2022年06月14日

ハイサイ!沖縄言葉:藤木優人

 

ハイタイ!今年は沖縄の本土復帰50年の節目です。本校では沖縄平和学習の棚がありますね。沖縄びいきの私としてはうれしい限りです。(ちなみに紹介した本によると「ハイサイ」は男性、「ハイタイ」は女性が使うそうです)

朝ドラでは4月から沖縄を舞台にした『チムドンドン』が始まりました。セリフに方言が使われています。私は何度も沖縄を訪れたことがあるので、方言に親しみが湧きますが、馴染みのない家族によると何を言っているかわからない時があるそうです。方言だけでなく、イントネーションも独特かもしれません。ゆったりとした島のリズムです。

沖縄に行ったら、生の言葉に耳を傾けてみて下さい。きっとチムドンドンするはずさぁ。

(司書 岩楯)

2022年05月23日

白鯨 MOBY-DICK:夢枕獏

 

世界十大小説とも称されるアメリカ文学の名作、ハーマン・メルヴィルの著書『白鯨』。鯨を追う捕鯨船の話なのですが、その船にジョン万次郎が乗っていた、という設定の小説です。これだけで、わくわくしますよね?

ジョン万こと中浜万次郎が14歳で漁船に乗って出港したのが1841年1月27日。『白鯨』の著者ハーマン・メルヴィルは、その24日前の1841年1月3日に捕鯨船に乗ってアメリカから旅立っています。もちろん、その時の体験がメルヴィルの『白鯨』の源です。白鯨の船が出港した時期もほぼ同じ設定になっています。
そこで、日本の『白鯨』の著者、夢枕獏は「万次郎を助けたのが実はアメリカの『白鯨』のエイハブ船長が乗ったピークオッド号だったら…」と思いついたそうです。

この物語を通じて、捕鯨が古くから伝わる日本の文化であり、それに携わる人たちがいかに捕鯨という行為を神聖に考えていたのか、また、鯨に対して畏怖の念をもって接していたのか、ということもよく理解できます。また、それはアメリカの捕鯨船も同じで、それならなぜ今捕鯨が欧米の人たちのやり玉にあがるのか、少し不思議な感じもします。

アメリカの『白鯨』は主人公エイハブ船長(アハブ)をはじめ、エライジャ(エリヤ)、ガブリエル、と聖書に出てくる名前の登場人物がたくさん出てきます。聖書のエピソードも度々登場人物により語られます。乗組員の一人が度々歌う歌は「主われを愛す 主は強ければ われ弱くとも おそれはあらじ…」聖学院の皆さんは知っていますよね?ヨナの亡霊…というエピソードもあります。

それでいて乗組員はアメリカ人・ネイティブアメリカ人のほかに、フランス人、オランダ人、中国人、マルタ島、シシリー島、東インド…そして日本の『白鯨』には万次郎も加わり、人種のるつぼと言われるアメリカの多様性をそのまま船に閉じ込めた様相になっています。聖書にからめた記述の多い小説ですが、これらの人々は実に様々な宗教を信じており、異文化の思想に触れることのできるエピソードも満載です。

全編を通じて流れているメッセージは、人知の及ばないものに対する畏怖の念が、あるときは人の強さを、ある時は人の優しさを生み出すということです。白い鯨というのも、その象徴のようです。

メルヴィルの『白鯨』、とても長くて読むのが大変です。正直、退屈です。ありとあらゆる場面で描写が細かいので、進まないのです。私も挫折しました。
でも、夢枕獏の『白鯨』はハラハラドキドキの連続、飽きさせません。それでいて、ジョン万次郎のこと、名著白鯨のことを知ることができる、一石二鳥の作品です。

アメリカ人にとっては大切なソウル文学のようで、白鯨の名前である「モービィ・ディック」という名前のカフェやレストランを私はアメリカで複数みかけました。スターバックスは重要な登場人物「スターバック」の名前が由来です。(創業者が3人だったので「ス」がついています。)

とにかく、読んで欲しい1冊です。

(司書 山中)

2022年05月10日

ぼんやりの時間:辰濃和男

 

一般的に「ぼんやり」というと、ボーッとしてふわふわと定まらず、プラスのイメージを持ちにくい印象がありませんか。しかし、著者はこの「ぼんやり」とした時間こそ個を充実させる貴重な時間だと言います。串田孫一はじめ著名人の言葉を紹介し、「ぼんやり」した時間を専ら称賛しています! 「ぼんやり」と過ごす時間にエネルギーを蓄え、思考を巡らすからこそ、いざという場面で力を発揮できるのです。
『西の魔女が死んだ』『モモ』なども紹介され、時間や周囲に縛られない過ごし方を改めて考えるきっかけにもなります。

新学期の今、新しいクラスや友達との出逢いもあり、また学年が上がると課題も増えて!?ちょっぴり疲れが出始めるころです。こんな時期こそ、「ぼんやり」する時間が必要かもしれません。ゴールデンウィークにあちこち出掛けるのもいいけれど、「ぼんやり」過ごして心も身体もリフレッシュしてくださいね。

(司書 古川 郁)

2022年04月18日
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